退職を後押ししてくれる出会いもたくさんありました。
それでもやっぱり――まだ迷いは消えませんでした。
①やりがいのある仕事だったこと
保育士になって8年目、今の園で5年目。
中堅の立場になり、先輩、後輩と協力しながら保育をつくっていくことも増えました。
先生同士であれこれ話し合いながら、行事や保育を少しずつよくしていく。
その過程がすごく楽しくて、やりがいを感じていました。
そして何より、子どもたちが本当にかわいくて。
毎日、笑ったり、思いがけない言葉に癒されたり…
「しんどいけど、やっぱり天職かも」と思うことも多かったです。
それに、今まで保育のことしかしてこなかった私が、転職して何ができる?
という不安もありました。
②産休育休という“選択肢”があること
結婚して1年。
私たち夫婦も、そろそろ子どもが欲しいねと話すようになりました。
ありがたいことに公務員なので、産休も育休もちゃんと整備されています。
育休も最長3年まで取れるなんて、本当に魅力的で…
「もう少し我慢すれば…妊娠できるかもしれない」
そんな期待も、正直ありました。
でも、なかなか授からなくて。
焦る気持ちもどんどん大きくなっていきました。
ふと気づくと、
「私は本当に子どもが欲しいの? それとも妊娠を“休む理由”にしようとしてるの?」
そんなふうに、自分の気持ちがよく分からなくなっていきました。
③お金のことも、やっぱり悩みのひとつ
時間外手当は全額出ないとはいえ、朝から晩まで働いていた分、年収は悪くありませんでした。
とくにボーナスは大きくて、支え合って働く夫との関係も心地よかったです。
「自分も稼いでいる」という実感が、安心や自信にもつながっていました。
そして、そのおかげで
・温泉旅館でのんびりしたり
・カフェ巡りで癒されたり
・ちょっと高くても、長く大事に使えるものを買ったり
・親や友達に気軽にプレゼントを贈れたり
“自分のためにお金を使える生活”が、何よりのご褒美だったんだと思います。
辞めてしまったら、貯金はできるのか?
夫に頼り切る生活になったら、自分はどう感じるだろう?
ずっと、堂々巡りのように悩んでいました。
心の声に、そっと従ってみた
本当に最後の最後まで、退職することを迷っていました。
でも――ありきたりかもしれないけれど、人生は一度きり。
悩んでいく中で、「私、まだやってみたいことがたくさんあるな」と気づいたんです。
子どもも欲しい。
でもその前に、もう少しだけ“自分の時間”も大切にしたい。
そんな気持ちもあって、「わがままなのかな」と思ったこともありました。
親にも祖父母にも、まだ孫の顔を見せてあげられていない。
それでもやっぱり――**“自分の人生だから”**という想いを大事にして、
とりあえず一歩、踏み出してみることにしました。
「そのときにまた考えよう!」
そう思えたことが、私のスタートラインだったのかもしれません。